ウクライナとロシアとの戦争についての雑感
ウクライナ民族はロシア軍を歓迎するだろうという想定のもとに始まったウクライナとロシアとの全面戦争であるが、当初の予想とは異なった展開を見せている。
ロシアが求めていたウォッカとキスによる歓迎の代わり鉛玉と罵倒による歓迎を受けている。
2014年にロシアがウクライナ南部のクリミア半島全域を占領と併合したことでウクライナの対ロシア感情は悪化した。
当時ウクライナ軍は腐敗と練度不足によりロシア軍に対抗することができなかった。
もしかするとその際にロシア軍が戦線をウクライナ全土に拡大していれば勝利を得れたかもしれない。
だがウクライナは8年かけて国土防衛のため、軍の再編と予備兵力の増強に努めた。
『フォーリン・アフェアーズ・リポート2022年4月号』に「パラノイア後に陥ったプーチン」という題名で侵攻が頓挫している理由が書かれていた。
その記事によればプーチン大統領が自身の軍事計画をぎりぎりのタイミングまで親しいアドバイザーに隠していたということだ。パラノイア思考に陥っているため、自身の意図を悟られないことに執着しているという。
2014年のクリミア半島侵攻の際もギリギリのタイミングまで隠していたとのことだ。
もしパラノイア思考に陥っているのならば、プーチン大統領にとってウクライナ人がロシア人を歓迎していないことも認識できないかもしれない。
実際ロシアのプロパガンダはキエフ政府よってウクライナの人々は抑圧されており、同じスラブ民族たるロシアに解放されたがっていると報じている。
ロシアはキエフ政府打倒のために特別軍事作戦を発動したこととなっている。
プーチン大統領が軍に対してどのタイミングで指示を発したかは不明である。
しかし今回の全面戦争によって西側諸国のロシアに対する認識が改めさせられる場面が非常に多かった。
まずは杜撰極まりないプロパガンダである。
一方的に平然と雑な嘘をTwitter上などで垂れ流し、共感者を得ようという発想に乏しいプロパガンダを展開している。
特に侵攻直前にウクライナとの国境付近で頻発して騒ぎを起こし、ウクライナによる仕業だと声高々に発表していた。
ウクライナ側になんのメリットもない騒ぎを捏造し、宣伝する方法はかつて世界の半分を魅了した共産主義思想とは見る影もないできそこないであった。
その次はロシア兵による残虐行為である。
略奪、婦女暴行、虐殺といった第二次大戦の独ソ戦を彷彿とさせるようなおぞましい行為の数々はロシア人の残虐性を令和になって再認識させられた。
日本も戦後ロシアによってシベリア抑留された人々がおり、57万5千人の内5万8千人が死亡する悲惨な仕打ちを受けている。
10人に1人が死亡するような仕打ちをする国家に対して、ウクライナ人があれほどの抵抗を示すのは納得できてしまう。
またロシア軍の実態にも驚かされた。
ロシア軍といえば冷戦時にアメリカと張り合っていたほどの軍事力を有しており、その強さは兵器の輸出でもプラスに働いていた、
アメリカ製より劣るかもしれないが、コストパフォマンスに優れた兵器と考えられていた。
『Call of Duty: Modern Warfare 2』大作ゲームではアメリカへの報復を果たすため、ロシア軍がアメリカの衛星や防衛網を無力化した上で、大量の輸送機を使用して米国東海岸に空挺降下とニューヨーク湾にロシア海軍を殺到させる表現が出てくる。
またNATOという組織もロシアに対抗するために創設されたと言っていいほどの組織であり、NATOの結束の強さは強大なロシアによって支えられていると言っていい。
強大なアメリカに対抗できる悪役ポジションとしてのロシアとイメージができていた。
だがウクライナに侵攻したロシア軍の多くは徴集兵によって構成され、訓練も行き届いていない状態であった。
汚職の影響からか兵士に支給される食料は期限切れであったり、中国製と思われるタイヤを使用していることにより、輸送車両のタイヤがバーストを頻発させている。
象徴的なシーンはキエフに向かう幹線道路に数珠つなぎとなった輸送車両の列を写した動画であった。
こういった幹線道路を使用した補給は数珠つなぎにならないよう間隔を開けなくてはならない。
一度の攻撃で大損害を受けないためのごく当たり前とされることができていないのだ。
また草むらや森林に隠れている戦車などの車両にはカモフラージュもされていなかった。
このため、ドローンなどにより上空から丸見えの戦闘車両を攻撃する映像が複数回とられている。
ロシア空軍も遥かに格下であるウクライナ軍に対して制空権を掌握することができていない。
情報線でも戦闘指揮車両をウクライナ軍に鹵獲されるなど、アメリカやNATOが背後にいるとはいっても完敗といっていいほどの体たらくを晒している。
だが当初より被害がはるかに大きくなったものの、ロシアは当初の目的である。2つの自治地域を国家承認し、支配下に置くことはできている。
またロシアは後方から兵力を抽出する余力もあり、ABC兵器という核兵器や生物・化学兵器も潤沢にそろえている。
一方でウクライナ側は2つ自治器地域とクリミア半島を失っており、ロシア軍をこれらの地域から撤退に追い込むには力不足である。
またウクライナは総力戦状態となっており、自国を燃やされてながら戦っている状態であるため、常に全力を出し続けている。
欧米からの援助がなければ征服されるという危機的な状況に変化はない。
そしてウクライナ側にとってジレンマとなっているのは、戦争が長期化するほどウクライナ経済は自国の領土の荒廃とあわさり崩壊していくこともある。
その中でロシアはABC兵器の投入の可能性が高まることにある。
ウクライナが勝利に近付くほどABC兵器が使用されるリスクが高まるというジレンマにも陥っている。
これは支援しているNATOとのABC兵器を使用した欧州戦争へ発展する可能性も含んでいる。
実際ロシアは冷戦時代から核兵器の積極的使用を模索しており、威嚇のために無人の場所で核兵器を使用するなど検討してきた歴史がある。
一方でロシアは経済制裁により困窮している。
特に輸入ができなくなったことにより、兵器製造など継戦能力も含めてダメージを受けている。
長期的には反米であり、独自経済圏構築を模索する中国に寄っていくだろう。
だが短期的にはウクライナとの戦争で必要な物資の確保や市民生活に配慮する必要がある。
また後方の混乱と相まって徴集兵の士気低下と徴兵拒否も始まっている。
戦争が長期化するほど市民生活圧迫と徴兵拒否の機運は高まり、戦争協力ができなくなるだろう。
だが生活がどんなに困窮したとしても打倒プーチンという可能性は低いと考えられる。
それはロシアの伝統である相互監視システムが国中に張り巡らされているためであり、Twitterやフェイスブックなどの外部との情報伝達手段が失われる中でプロパガンダに染まっていくためである。
さらに打倒プーチンが達成できたとしてもウクライナとの戦争をどのようにして収拾するかや政権基盤の確立、欧米から切り離された混乱した経済の立て直しなど難題が山積している。
そんな状態で政権運営するためには強権をもって当たるほかなく、プーチンが倒れたとしても民主的な国家が誕生するとは思えない。
またプーチンが始めた戦争だが、後任者が和平派である保証もない。
終わりの見えない消耗戦が継続される可能性も秘めている。
ロシア経済が崩壊することよってロシアの核戦力も心配となる。
すでにウクライナとの戦争で大量の戦費がかかっており、核戦力維持に必要な費用を捻出するのに苦労しているはずだ。
今後費用が捻出できなくなれば、大量の核が放置されることとなり核拡散も含めた大きな問題となるかもしれない。
プーチンが倒れればウクライナとの和平の可能性もあるが、一方でロシア国内の混乱により別の混乱が生じるかもしれない。
その混乱によって核がテロリスト等に渡る危険性も考えると欧米はロシアの扱いは慎重にならざるおえないだろう。
この戦争は長期化の様相となっている。
双方の政治的要求に妥協点を見いだせていない。
一方で互いに決定打を欠いた状態で戦争を継続しているため、決着がつかないまま推移することとなるだろう。
ウクライナ・ロシア双方にとって不幸な状態が継続することになり、我々にできることはABC兵器が使用されないことを祈ることだけだろう。
ロシアと2つの大きな戦線について
年明けから国際情勢が目まぐるしく動いている。
特に年末からロシア軍の1/3以上がウクライナ国境に集結していることが、危機を高めている。
【解説】 ロシアはウクライナを侵攻するのか 現状について数々の疑問 - BBCニュース
またカザフスタンでも大規模な反政府運動が起こり、ウクライナに戦力を貼り付けているロシア軍の後方が脅かされている。
カザフスタンで反政府デモが拡大 「数十人が死亡」と治安当局 - BBCニュース
近年ロシアが東欧において勢力拡大を模索するような行動をとるのは「恐怖」に突き動かされていると解説される。
ロシアは世界一大きい領土を保有している。
しかしその大きさにより、多方面にわたって様々な国と国境を接している。
ロシアは国境を接する国々が共闘し、ロシアに攻め込む可能性が一番の恐怖である。
中央アジアはロシアにとってアキレス腱であり、かつてモンゴル帝国によってロシアが臨終された場所も中央アジアからであった。
ソ連邦時代には国が乱立し互いに敵対心をもっているが、構成国としてソ連に押さえつけられていて秩序があった。
だがソ連邦崩壊以降はアルメニアとアゼルバイジャンのように度々国境紛争を発生させており、ロシアにとっては手のかかる地域となった。
また中央アジアは中東の大国からの影響も受けており、トルコやイランなどが勢力拡大のために代理戦争の場ともなっている火薬庫でもある。
ロシアは中東諸国の他にサウジアラビアやイラクに展開している米軍が中央アジアに介入し新米政権が樹立された場合、ロシアの柔らかい腹に短剣を突き刺す格好となるため恐れている。
また極東方面では中国の膨大な人口に対してロシア国民の少なさから、経済的侵略や多数の移民によりなし崩し的に中国領とされる恐怖をもっている。
日本は北方領土を巡り係争中であり、米軍と共闘して奪還される危険性も考えている。
日本人からすると信じがたい話と思うが、スキをみせれば奪い返されると考えるのは国際政治からすれば不思議ではない。
国際社会においてロシアは好印象を持たれていないため、日本が攻撃を仕掛けたとしても追認する諸国が多い。
ロシア極東最大の軍港でもあるウラジオストクから艦船が出港する際には対馬海峡か千島列島しか通る場所がない。
日本が両方を抑えることができれば極東におけるロシア海軍の影響力は低下し、千島列島づたいに北海道上陸もできなくなる。
日本の安全保障のための行動として正当化と動機を持っているためロシアは日本の動向にも注意を払っている。
他国に対する恐怖はロシアの思考の投影によって引き起こされている。
ロシア自身が領土保全のために他国に侵略を繰り返し、緩衝地帯を欲している思考の投影こそが恐怖の根源となっている。
イラク戦争開戦理由として米国は予防的な先制攻撃と表現し、ロシアは開戦を批判していた。
だがロシア自身もWW2以降ロシア周辺国に介入をし、共産主義国家を乱立させて緩衝地帯とさせていた。
そして今回取り上げるウクライナ情勢であるが、NATOが東欧諸国を次々と加盟させる状況はロシアとの緩衝地帯の喪失である。
緩衝地帯喪失はロシアの影響力喪失とロシア領土への接近を許すこととなる。
ロシアはウクライナをロシア領、もしくはロシアの勢力圏の一部と考えている。
そのウクライナを巡るロシアの行動は西欧諸国がNATOとして一体化し、東欧に勢力を拡大していることに対する抑止である。
またデッドラインの設定のため自勢力圏へ取り込もうと考えていると思われる。
ウクライナ喪失はロシアにとってクリミア半島におけるロシア海軍の基地喪失にも繋がり、黒海への影響力低下を招くこととなる。
またウクライナはロシアにとって緩衝地域であり、食糧庫としての役割もある。
何より国境線をNATOと接することは恐怖となる。
ロシアは陸上兵力だけで全体の1/3以上を動員しており、質量ともにウクライナを上回る。
そしてベラルーシ領にも展開しキエフを突くことができる位置にも布陣している。
(ツイッターから取得)
ベラルーシの部隊は陽動の可能性もあるが、ウクライナ側は兵力を割いて防御に当たらなくてはならない。
ロシア側の目標が何処にあるのか不明なので布陣だけを見て判断することはできない。
ウクライナを包囲するように展開し一見全土併合を目指しているように見える。
確かにウクライナは平野が多く防御に適していない。
機甲師団で敵陣を突破し後方へ回り込むことで包囲殲滅できる。
だがウクライナ側は徹底抗戦を叫んでおり、市街地で消耗戦を仕掛けられるとロシア側の被害も増大する。
そこまでウクライナを欲しているのか不明なのだ。
ウクライナ領を一部併合するだけで満足する可能性もある。
今後とも注視が必要である。
アフガニスタンの今後について思うこと
米軍が完全撤退したことで20年もの長期に渡る作戦が終了した。
イラクとは違いアフガニスタン軍は実戦において機能不全をきたし、タリバン勢力は全土を掌握することができた。
進撃の速さに対して撤退作業が追いつかず、多数のアフガニスタン協力者と外国人が取り残されることとなった。
2000人以上の米兵が戦死したにも関わらず、最後に纏まって戦死した13人の方がクローズアップされている不思議な光景が展開されている。
20年前に置き忘れてきた敗戦という荷物を今になって受け取り、狼狽していることが伝わってきた。
今後、アフガニスタンでは外国人狩りが行われ、人質として扱われることもあれば見せしめとして公開処刑となるだろう。
彼らにとって見れば仲間以外は敵であり、利用できる材料程度でしかない。
アフガニスタン協力者は歴史から消し去るように見えないところで処刑されるだろう。
当然女性の人権はなく、家畜と同等に扱われることとなる。
部族社会に対していきなり近代的な民主主義と人権を教えることに無理があった。
段階を踏んだ教育が必要であったが、20年では短すぎた。
また米軍が撤退に際してアフガニスタン軍に残すはずだった兵器類は軍が機能しないことによってタリバンに渡ったため米軍の兵器類を吸収し強力な勢力となった。
今後については以前書いたブログのとおりとなるだろう。
今はタリバンは一つの勢力として振る舞っているが、実態は複数の部族や宗派の連合体である。
米軍という共通の敵がいなくなったことで内部分裂を起こすことになるだろう。
だが今までとは違い、米軍装備を入手したことで勢力争いは過激なものとなる。
ヘリや無人航空機も取得したらしいが、運用が高額となるため周辺国に売却される可能性が高い。
よって戦闘は地上戦が主体となり、ハンビィーなどの装甲車が活躍するだろう。
中国は先手を打ってタリバンと協力関係の構築を図っている。
だが内部分裂すれば交渉先が複数となりコントロール不能となるだろう。
ウイグル自治区に対する治安悪化も懸念されるためさらなる治安部隊の投入も行われるだろう。
だが治安部隊とタリバンとの偶発的な戦闘によりアフガニスタンへの中国介入が行われれば、中国の足元をすくことにもなりかねない懸念もある。
アフガニスタンの内戦は中国以外の周辺国の情勢不安も引き起こすことが予想される。
アフガニスタンに明るい未来はなくなったが、同時に世界からの興味も失われることになる。
欧米人が戦死することがなければお茶の間を賑わせることはなくなり、内戦や理不尽な慣習によって無差別殺戮が行われても小さい報道がされる程度だろう。
世界中にある不幸のうちの一つに列挙される程度となる。
中国が面倒を見る可能性もあるが、内陸国であるし隣国にパキスタンがあるため対米の拠点としての利用価値はアフガニスタンにはない。
内戦で混乱していても中国にとっては煩わしい存在ではあるものの脅威ではない。
世界に影響力を示すことができない以上、世界から忘れられるのは致し方ないことなのかもしれない。
アメトーーク特別編 雨上がり決死隊解散報告会を視聴した感想
雨上がり決死隊が解散することになった。
結成32年での解散なので筆舌に尽くし難いことだ。
私は彼らが好きでも嫌いでもなかった。
お笑いライブに行ったことも無い。
ただテレビをみていた時期には中堅芸人として第一線で活躍されていた記憶はあった。
2年ほど前に闇営業問題で謹慎処分となり、一般人とは違い期間満了となれば次々と芸人達は復帰していった。
だがその中でも宮迫さんは様々な支援を裏切る形でyotuberとして別の道を進んだ。
一連の騒動はエンタメに詳しくない私も目に入るほど大きな騒動となっていた。
様々な批判で目についたのは彼の芸が好きではない人が多かったことだ。
他人の欠点を指摘して笑いをとるやり方をスタイルにしたキザを気取るような芸風は指摘されるとうなずけてしまった。
特にここ数年で彼のようなスタイルは悪目立ちし、他人を傷つけない笑いに移行しつつある気がする。
そんな風潮の中でたまたま解散するとのニュースが目に入った。
どうせお涙頂戴のつまらない番組なんだろうなと確認程度に視聴した。
予想とは違い暴露大会の様相となり、2人の考えや集まった他の芸人達とのやりとりの生々しさに新鮮な驚きがあった。
テレビ局側がどう考えていたのかは存じない。
だが番組としては熟年離婚の模様がみれ、週刊誌を読んでいるようで面白いと評価できた。
私が気になったのは2年ほど芸能から離れた人間がこれほど噛み合わないのかと思えた点にある。
噛み合わないのは他の芸人との絡みもそうだが、何より場の雰囲気を読むことができていない点にある。
この解散報告会は雨上がり決死隊のために行われているにも関わらず、聞き手役のひな壇芸人をイジったり、自分の非があることを話すときはキザな話し方をするなど場を読めないと感じさせる箇所が多々あった。
単純に自分大好きおじさんとして宮迫さんをみてしまった。
彼以外だったら2年のブランクがあっても復帰できたのかもしれない。
だが2年という空白は興味本位で観ている視聴者に違和感を覚えさせるほどの間の途切れをもたらすのかと驚愕した。
彼が話し終わると場が停止するのだ。
ほんの一瞬のことだと思うが、数秒のように長く感じるほどに停止する。
これではテレビで単発ならいざしらず、レギュラーをとることはできないだろう。
こんなに違和感を覚えるほど浮世絵したのはyoutuberになり自分の殻に引きこもったからだと考える。
youtuberなりたての頃は素晴らしい成果をだすのは当然と言っていい。
話題性のある人物がやるのだから成果は自然とついてくる。
ただ自分の殻に引きこもってしまうと後が続かなくなる。
テレビにしろyoutuberにしろ視聴者はより面白いもの、新しいものといった刺激を求める。
だが彼の報告会での振る舞い方は2年前で停止しており、youtuberとして1年程度かけてやってきたことをテレビ上でなにか残せたわけではない。
完全にしゃべり上手の素人おっさんがそこにはいた。
この2年という空白期間は一流をあっという間に錆びさせるには十分な時間だったということがわかった。
2年あれば芸能だけではなくあらゆる業界に携わっている人でも同じようになる可能性があることも失念してはならないと思った。
例えば転職して、2年後に元の業界に戻ろうとしたときも同じ状態になるかもしれない。
なまじ経験があるだけに以前のやり方に固執し、周囲との軋轢を生じさせるなど浮く存在になることだって考えられる。
これは第一線にいても同じことで新しいものや環境を貪欲に吸収していかないと、特定の技術に秀でた小うるさい面倒な人という烙印をもらうことになる。
対して蛍原さんは頑固で繊細な人物だそうだが、自説を何でも通すわけではなかった。
倫理をわきまえた上で周囲の意見を聞き、廃番にすると話していたアメトーークも存続させると決心した。
一方で宮迫さんがyotuberになった時期をロンドンブーツの再出発にぶつけた倫理観を疑い、同業者潰しをした彼を許すことはできなかったといった。
これは頑固というより分をわきまえた人物と言っていい。
蛍原さんは面白い芸人ではないと騒動前から今も思っている。
だがそんな人物でも長年やってこれたのは倫理に配慮することや他者の意見を取り入れる姿勢といったことだと思う。
蛍原さんが今後一人でやっていけるかは私もわからない。
だがどちらが生き残るかと考えると蛍原さんだと思う。
たった2年の空白期間が与える影響について観れたいい番組だった。
FIREについて思うこと
最近経済誌などでFIREがよく取り出されている。
東京五輪のゴタゴタについて思うこと
東京五輪は開催前から色んなことがありすぎた。
だが上層部の無作為に現場力で無理やり乗り切ることで開会式も無事に完了できた。
開会式が無事に完了し選手たちが大会に出場できていることは喜ばしいことである。
次の冬季五輪は北京開催だが、ボイコットする国が相次ぐ可能性があるため東京五輪が盛り上がれば差を世界に示すこともできる。
だが五輪に関わる一連の騒動は日本の閉塞感の原因を象徴しており、特に開会式を巡るゴタゴタによって拍車がかかったように見受けられた。
五輪準備委員会の機能不全、密室で決定される不透明性やご意見番や権威による意見によって物事が決定されるといった事象こそが閉塞した日本を象徴していると感じた所以である。
閉塞感というのは自分自身ではどうにもならない大きな力によって押さえつけられている状態といえる。
税金によって行われる大会のプロセスが不透明で利害関係者の恣意的な判断だとわかってしまうような中で物事が進んでいくことは閉塞感を生み出す原因となる。
リオ大会で安倍首相がマリオに扮して登場したことを受けて開会式はゲームなどのキャラクターを用いた演出をするのは自然な流れでもある。
だが一部のご意見番や権威によって開会式が歪められ、前日までごたつくという醜態を晒したことは決して忘れられてはならないと思う。
人様の金を使って好き勝手することは盗人と何ら変わらない行為であり、今回であれば国民、政府、IOC、企業スポンサーに多大な迷惑と不利益を与えている。
大会開催までのプロセスについて後日検証委員会を設置し、今後世界的な大会を運営していく上でのノウハウを整理することも必要だと思う。
だが五輪が行われたことで国民は関心を失い過去の話をクドクド考えることはできないだろう。
また利害関係者の横槍によってされることはないだろう。
こういった密室によって物事が決定されるのは国だけではなく企業でもあり、特に人事に関わる部分では顕著となる。
最近の企業では評価ポイントや基準は公表されており、一見すると公平な人事が行われているように見える。
だが実際のところは課長や部長でもわからない役員レベルでの綱引きによって決まっている。
肝心なところで密室になっているため結局のところ公平とは言い難い人事評価を下されることもある。
見かけ上は公平そうでも実際の運用部分では恣意的な運用をする。
これこそが閉塞感をもたらす元凶だと思う。
自身の頑張りとは関係ない場所で不透明な決定がされることがビジネスパーソンの愛社精神を削ぐ結果となっているように、国際的な大会で利害関係者のみで不透明な決定をすることはスポーツ大会の今後が危ぶまれる。
今後数十年、日本国民では五輪以外の大規模なスポーツ大会に対する心情的な嫌悪感がつきまとうことになるだろう。
大会をするたびに五輪のゴタゴタのようなことが再現されると考えるだけで嫌になるのも無理はないと思う。
これはスポーツに関わる競技者や関係者にとっても不幸な話だと思う。
自分たちの頑張りではない上層部の身勝手によってスポーツに対する印象が悪くなったというのはやるせないだろう。
本来ならば大手を振って大会に出場するはずだった選手たちは一様に「色んな考えはありますが、出場させていただきありがとうございます」と低姿勢にならざる負えない状態となっている。
米軍のアフガニスタン撤退について
米軍の撤退を前に国を脱出しようとパスポート申請に押し寄せるアフガニスタン市民pic.twitter.com/FasfjHHrJ6
— ミリレポ (@sabatech_pr) 2021年6月30日
米軍がアフガニスタンから撤退した。
20年続いたテロとの戦いから台頭する中国やロシアなど正規軍同士の大規模戦闘に備えて転換する象徴的な出来事となった。
米軍のアフガニスタン撤退に合わせて市民もパスポートを求めて役所に殺到するなど混乱が広がっている。
元々米軍がアフガニスタンに侵攻したのは9.11以降のテロとの戦いの中で、テロの供給源となっている地域の安定化を目的としていた。
冷戦を通じてソ連に打ち勝った米国は世界の頂点に立ち、民主主義と資本主義が世界のスタンダードだと考えてた。
その絶頂期の米国に冷水を浴びせたのが9.11であった。
世界最強の軍隊を保有していながら多数の自国民を傷つけられた米国はその力を中東に使った。
当時は9.11のようなテロが世界中で頻発すると考えられており、自国民を保護する正義の戦いであると喧伝されていた。
そして中東に民主主義の考えを根付かせれば中東に住む人々の考えも変わるだろうと本気で信じていた。
だが冷戦時代に同じことを中南米各地で行い、ことごとく失敗していた事実から目をそむけていた。
アフガニスタンに侵攻し、中東で3本の指に数えられる大国イラクを瞬く間に蹂躙し幸先のよい戦いをしていた。
しかしその後はゲリラ戦に引きずり込まれ際限の無い戦いとなった。
アフガニスタン・イラクで6000人以上の米兵が戦死しており、負傷者数、帰国後にPTSDと診断された人などを含めて米国が支払った代償は大きい。
何よりベトナムと違いアフガニスタン・イラクでの戦いは米国でニュースで取り上げられることも少なくなり、自国民の興味もなくなったことで事実上隠された戦いとなっていた。
反戦運動の機運も起きず、米国は不都合な事実から目をそむけ莫大な資源を投入せざるおえない状況が続いてた。
しかし中国の台頭によって米国は救われることになった。
中国は太平洋に進出しようと海軍力を強化し、一帯一路構想によってユーラシア大陸や米国の裏庭である中南米にも影響力を拡大した。
AKやRPGなど小火器しか持っていないテロリストより大陸間弾道ミサイルも保有する中国の方が脅威となった。
米国に敵対し米国の秩序に挑戦している中国を排除するため、米国は中東から戦力を引き上げ、中国周辺に再配置する一環としてアフガニスタンからも撤退する。
米軍撤退は南ベトナムの再現であり、現アフガニスタン政府は1年も経たない内に崩壊すると目されている。
政府崩壊後はタリバンがアフガニスタンのほとんどの地域を支配することになるだろう。
だが政府というしっかりとしたものではなく、地元のギャングが市民からみかじめ料を徴収し好き勝手やる無政府状態となると思われる。
権力の真空状態は新たな勢力を呼び込む機運ともなる。
この場合隣接しているイラン、中国が勢力拡大を狙うかもしれない。
だがイランはシーア派であるため、スンニ派であるタリバンからモスクなどにテロを仕掛けられている側である。
イランはタリバンと友好を結べる状態でなく、影響力を行使できる状態ではない。
中国ならば真空状態をついて介入する可能性がある。
現在中国は隣国パキスタンと友好関係を結んでおり、パキスタンルートを使用してアフガニスタンにも影響力を伸張させることもできる。
ジョージ・ケナンがX論文で展開した封じ込め戦略を復活させるため、同盟国との連帯を強化している。
それに対して中国は独裁国家も含めて封じ込めから脱却しようと金の力を使い、一帯一路で多方面に展開している。
全ては包囲網を破るためである。
だが中国の行動は全て計画的なものではなく無鉄砲なものもある。
例えばパナマ運河を保有しているパナマに一帯一路に参加を求めるなど米国を刺激する行動もとっている。
パナマを味方に引き入れたとしても、距離が近い米国の脅しにパナマは逆らうことはできない。
いたずらに米国を刺激することは中国にとって不利益を被ることもしている。
中国、タリバン支援の観測も…アフガン安定関与狙う - 産経ニュース
隣国はイランとパキスタンであり、そんな地域に中国が影響力を行使しても得るものは少ない。
アフガニスタンと新疆ウイグル自治区は国境を面していることから治安維持を目的に介入したい腹積もりなのかもしれない。
だが治安維持だけに介入するには高すぎる維持費用になるだろう。
農業に適さない土地であるためケシの栽培が盛んである。
中国政府が否定する宗教を信仰し伝統が根付く土地がアフガニスタンである。
タリバンはもしかすると米国の次に中国とゲリラ戦を繰り広げる可能性もある。
どう進んだとしてもアフガニスタンは平和から最も遠い場所であることに変わりはなく、世界の関心から外れた場所として存在することになるだろう。
世界にとって都合の悪い部分を集めたような場所、混沌を煮詰めてできた乾いた大地、人が住みながらも人を寄せ付けないような場所がアフガニスタンだと思ってしまう。