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ウクライナとロシアとの戦争についての雑感

ウクライナ民族はロシア軍を歓迎するだろうという想定のもとに始まったウクライナとロシアとの全面戦争であるが、当初の予想とは異なった展開を見せている。

ロシアが求めていたウォッカとキスによる歓迎の代わり鉛玉と罵倒による歓迎を受けている。

2014年にロシアがウクライナ南部のクリミア半島全域を占領と併合したことでウクライナの対ロシア感情は悪化した。

当時ウクライナ軍は腐敗と練度不足によりロシア軍に対抗することができなかった。

もしかするとその際にロシア軍が戦線をウクライナ全土に拡大していれば勝利を得れたかもしれない。

だがウクライナは8年かけて国土防衛のため、軍の再編と予備兵力の増強に努めた。

フォーリン・アフェアーズ・リポート2022年4月号』に「パラノイア後に陥ったプーチン」という題名で侵攻が頓挫している理由が書かれていた。

その記事によればプーチン大統領が自身の軍事計画をぎりぎりのタイミングまで親しいアドバイザーに隠していたということだ。パラノイア思考に陥っているため、自身の意図を悟られないことに執着しているという。

2014年のクリミア半島侵攻の際もギリギリのタイミングまで隠していたとのことだ。

もしパラノイア思考に陥っているのならば、プーチン大統領にとってウクライナ人がロシア人を歓迎していないことも認識できないかもしれない。

実際ロシアのプロパガンダキエフ政府よってウクライナの人々は抑圧されており、同じスラブ民族たるロシアに解放されたがっていると報じている。

ロシアはキエフ政府打倒のために特別軍事作戦を発動したこととなっている。

 

プーチン大統領が軍に対してどのタイミングで指示を発したかは不明である。

しかし今回の全面戦争によって西側諸国のロシアに対する認識が改めさせられる場面が非常に多かった。

まずは杜撰極まりないプロパガンダである。

一方的に平然と雑な嘘をTwitter上などで垂れ流し、共感者を得ようという発想に乏しいプロパガンダを展開している。

特に侵攻直前にウクライナとの国境付近で頻発して騒ぎを起こし、ウクライナによる仕業だと声高々に発表していた。

ウクライナ側になんのメリットもない騒ぎを捏造し、宣伝する方法はかつて世界の半分を魅了した共産主義思想とは見る影もないできそこないであった。

その次はロシア兵による残虐行為である。

略奪、婦女暴行、虐殺といった第二次大戦の独ソ戦を彷彿とさせるようなおぞましい行為の数々はロシア人の残虐性を令和になって再認識させられた。

日本も戦後ロシアによってシベリア抑留された人々がおり、57万5千人の内5万8千人が死亡する悲惨な仕打ちを受けている。

10人に1人が死亡するような仕打ちをする国家に対して、ウクライナ人があれほどの抵抗を示すのは納得できてしまう。

またロシア軍の実態にも驚かされた。

ロシア軍といえば冷戦時にアメリカと張り合っていたほどの軍事力を有しており、その強さは兵器の輸出でもプラスに働いていた、

アメリカ製より劣るかもしれないが、コストパフォマンスに優れた兵器と考えられていた。

Call of Duty: Modern Warfare 2』大作ゲームではアメリカへの報復を果たすため、ロシア軍がアメリカの衛星や防衛網を無力化した上で、大量の輸送機を使用して米国東海岸に空挺降下とニューヨーク湾にロシア海軍を殺到させる表現が出てくる。

またNATOという組織もロシアに対抗するために創設されたと言っていいほどの組織であり、NATOの結束の強さは強大なロシアによって支えられていると言っていい。

強大なアメリカに対抗できる悪役ポジションとしてのロシアとイメージができていた。

だがウクライナに侵攻したロシア軍の多くは徴集兵によって構成され、訓練も行き届いていない状態であった。

汚職の影響からか兵士に支給される食料は期限切れであったり、中国製と思われるタイヤを使用していることにより、輸送車両のタイヤがバーストを頻発させている。

象徴的なシーンはキエフに向かう幹線道路に数珠つなぎとなった輸送車両の列を写した動画であった。

こういった幹線道路を使用した補給は数珠つなぎにならないよう間隔を開けなくてはならない。

一度の攻撃で大損害を受けないためのごく当たり前とされることができていないのだ。

また草むらや森林に隠れている戦車などの車両にはカモフラージュもされていなかった。

このため、ドローンなどにより上空から丸見えの戦闘車両を攻撃する映像が複数回とられている。

ロシア空軍も遥かに格下であるウクライナ軍に対して制空権を掌握することができていない。

情報線でも戦闘指揮車両をウクライナ軍に鹵獲されるなど、アメリカやNATOが背後にいるとはいっても完敗といっていいほどの体たらくを晒している。

 

だが当初より被害がはるかに大きくなったものの、ロシアは当初の目的である。2つの自治地域を国家承認し、支配下に置くことはできている。

またロシアは後方から兵力を抽出する余力もあり、ABC兵器という核兵器や生物・化学兵器も潤沢にそろえている。

一方でウクライナ側は2つ自治器地域とクリミア半島を失っており、ロシア軍をこれらの地域から撤退に追い込むには力不足である。

またウクライナは総力戦状態となっており、自国を燃やされてながら戦っている状態であるため、常に全力を出し続けている。

欧米からの援助がなければ征服されるという危機的な状況に変化はない。

そしてウクライナ側にとってジレンマとなっているのは、戦争が長期化するほどウクライナ経済は自国の領土の荒廃とあわさり崩壊していくこともある。

その中でロシアはABC兵器の投入の可能性が高まることにある。

ウクライナが勝利に近付くほどABC兵器が使用されるリスクが高まるというジレンマにも陥っている。

これは支援しているNATOとのABC兵器を使用した欧州戦争へ発展する可能性も含んでいる。

実際ロシアは冷戦時代から核兵器の積極的使用を模索しており、威嚇のために無人の場所で核兵器を使用するなど検討してきた歴史がある。

一方でロシアは経済制裁により困窮している。

特に輸入ができなくなったことにより、兵器製造など継戦能力も含めてダメージを受けている。

長期的には反米であり、独自経済圏構築を模索する中国に寄っていくだろう。

だが短期的にはウクライナとの戦争で必要な物資の確保や市民生活に配慮する必要がある。

また後方の混乱と相まって徴集兵の士気低下と徴兵拒否も始まっている。

戦争が長期化するほど市民生活圧迫と徴兵拒否の機運は高まり、戦争協力ができなくなるだろう。

だが生活がどんなに困窮したとしても打倒プーチンという可能性は低いと考えられる。

それはロシアの伝統である相互監視システムが国中に張り巡らされているためであり、Twitterフェイスブックなどの外部との情報伝達手段が失われる中でプロパガンダに染まっていくためである。

さらに打倒プーチンが達成できたとしてもウクライナとの戦争をどのようにして収拾するかや政権基盤の確立、欧米から切り離された混乱した経済の立て直しなど難題が山積している。

そんな状態で政権運営するためには強権をもって当たるほかなく、プーチンが倒れたとしても民主的な国家が誕生するとは思えない。

またプーチンが始めた戦争だが、後任者が和平派である保証もない。

終わりの見えない消耗戦が継続される可能性も秘めている。

ロシア経済が崩壊することよってロシアの核戦力も心配となる。

すでにウクライナとの戦争で大量の戦費がかかっており、核戦力維持に必要な費用を捻出するのに苦労しているはずだ。

今後費用が捻出できなくなれば、大量の核が放置されることとなり核拡散も含めた大きな問題となるかもしれない。

プーチンが倒れればウクライナとの和平の可能性もあるが、一方でロシア国内の混乱により別の混乱が生じるかもしれない。

その混乱によって核がテロリスト等に渡る危険性も考えると欧米はロシアの扱いは慎重にならざるおえないだろう。

この戦争は長期化の様相となっている。

双方の政治的要求に妥協点を見いだせていない。

一方で互いに決定打を欠いた状態で戦争を継続しているため、決着がつかないまま推移することとなるだろう。

ウクライナ・ロシア双方にとって不幸な状態が継続することになり、我々にできることはABC兵器が使用されないことを祈ることだけだろう。