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ロシアと2つの大きな戦線について

年明けから国際情勢が目まぐるしく動いている。

特に年末からロシア軍の1/3以上がウクライナ国境に集結していることが、危機を高めている。

【解説】 ロシアはウクライナを侵攻するのか 現状について数々の疑問 - BBCニュース

またカザフスタンでも大規模な反政府運動が起こり、ウクライナに戦力を貼り付けているロシア軍の後方が脅かされている。

カザフスタンで反政府デモが拡大 「数十人が死亡」と治安当局 - BBCニュース

 

近年ロシアが東欧において勢力拡大を模索するような行動をとるのは「恐怖」に突き動かされていると解説される。

ロシアは世界一大きい領土を保有している。

しかしその大きさにより、多方面にわたって様々な国と国境を接している。

ロシアは国境を接する国々が共闘し、ロシアに攻め込む可能性が一番の恐怖である。

中央アジアはロシアにとってアキレス腱であり、かつてモンゴル帝国によってロシアが臨終された場所も中央アジアからであった。

ソ連邦時代には国が乱立し互いに敵対心をもっているが、構成国としてソ連に押さえつけられていて秩序があった。

だがソ連邦崩壊以降はアルメニアアゼルバイジャンのように度々国境紛争を発生させており、ロシアにとっては手のかかる地域となった。

また中央アジアは中東の大国からの影響も受けており、トルコやイランなどが勢力拡大のために代理戦争の場ともなっている火薬庫でもある。

ロシアは中東諸国の他にサウジアラビアイラクに展開している米軍が中央アジアに介入し新米政権が樹立された場合、ロシアの柔らかい腹に短剣を突き刺す格好となるため恐れている。

また極東方面では中国の膨大な人口に対してロシア国民の少なさから、経済的侵略や多数の移民によりなし崩し的に中国領とされる恐怖をもっている。

日本は北方領土を巡り係争中であり、米軍と共闘して奪還される危険性も考えている。

日本人からすると信じがたい話と思うが、スキをみせれば奪い返されると考えるのは国際政治からすれば不思議ではない。

国際社会においてロシアは好印象を持たれていないため、日本が攻撃を仕掛けたとしても追認する諸国が多い。

ロシア極東最大の軍港でもあるウラジオストクから艦船が出港する際には対馬海峡か千島列島しか通る場所がない。

日本が両方を抑えることができれば極東におけるロシア海軍の影響力は低下し、千島列島づたいに北海道上陸もできなくなる。

日本の安全保障のための行動として正当化と動機を持っているためロシアは日本の動向にも注意を払っている。

他国に対する恐怖はロシアの思考の投影によって引き起こされている。

ロシア自身が領土保全のために他国に侵略を繰り返し、緩衝地帯を欲している思考の投影こそが恐怖の根源となっている。

イラク戦争開戦理由として米国は予防的な先制攻撃と表現し、ロシアは開戦を批判していた。

だがロシア自身もWW2以降ロシア周辺国に介入をし、共産主義国家を乱立させて緩衝地帯とさせていた。

 

そして今回取り上げるウクライナ情勢であるが、NATOが東欧諸国を次々と加盟させる状況はロシアとの緩衝地帯の喪失である。

緩衝地帯喪失はロシアの影響力喪失とロシア領土への接近を許すこととなる。

ロシアはウクライナをロシア領、もしくはロシアの勢力圏の一部と考えている。

そのウクライナを巡るロシアの行動は西欧諸国がNATOとして一体化し、東欧に勢力を拡大していることに対する抑止である。

またデッドラインの設定のため自勢力圏へ取り込もうと考えていると思われる。

ウクライナ喪失はロシアにとってクリミア半島におけるロシア海軍の基地喪失にも繋がり、黒海への影響力低下を招くこととなる。

またウクライナはロシアにとって緩衝地域であり、食糧庫としての役割もある。

何より国境線をNATOと接することは恐怖となる。


ロシアは陸上兵力だけで全体の1/3以上を動員しており、質量ともにウクライナを上回る。

そしてベラルーシ領にも展開しキエフを突くことができる位置にも布陣している。

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ツイッターから取得)


ベラルーシの部隊は陽動の可能性もあるが、ウクライナ側は兵力を割いて防御に当たらなくてはならない。

ロシア側の目標が何処にあるのか不明なので布陣だけを見て判断することはできない。

ウクライナを包囲するように展開し一見全土併合を目指しているように見える。

確かにウクライナは平野が多く防御に適していない。

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機甲師団で敵陣を突破し後方へ回り込むことで包囲殲滅できる。

だがウクライナ側は徹底抗戦を叫んでおり、市街地で消耗戦を仕掛けられるとロシア側の被害も増大する。

そこまでウクライナを欲しているのか不明なのだ。

ウクライナ領を一部併合するだけで満足する可能性もある。

今後とも注視が必要である。