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日本はなぜ開戦に踏み切ったか 森山優著を読んでみた感想

 

日本はなぜ開戦に踏み切ったか―「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)

日本はなぜ開戦に踏み切ったか―「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)

 

 

日本が米国との開戦と至るまでの間に数々の交渉があった。

当然国内の交渉もあった。

陸軍参謀本部陸軍省、海軍軍令部と海軍省

さらに外務省と内閣、天皇まで含まれた様々な組織が自らの利益を求めて相争った。

今まで得たものをできる限り保持しつつ米国との和平交渉を行っていた。

だが当時から開戦すれば敗北は必須だったことがわかっていた。

しかし利益を求めるがあまりに全てを灰にする結果となった。

大局的に米国との交渉について考える人物はおらず、国内での纏まりすら難儀する有様だった。

日本組織の悪しき部分が凝縮された本となっている。

現代の日本人が読んでも納得するような組織間での交渉よくわかる本だった。

今の日本も戦前の文化を引きずっている。

枝葉末節ばかりに注目し互いの足を引っ張る。

責任回避と組織内での師に対する間違った忠誠心、本来部署でない部署の横槍や妨害といったこともあった。

結果出来上がったのはどちらともつかない役立たずなものが出来上がる。

大局的に物事をみて本当に交渉しなけければならない相手の何を求めているかを理解できる人物がいつの世でも求められている。

組織は永久ではない。

また組織が思っている絶対に譲れないことも大局的に見た場合大した話ではないことも多い。

決裂による損害や破滅より大事な譲れないことが一組織にあるわけない。

もっと視野を広く見る必要がある。

また近年サラリーマン社長が増加している。

組織内で成り上がった社長は大局的な視野を培う時間は少なく、社内での調整に追われることとなる。

会社の先行きに対する責任も任期中の期間という短いスパンでしか考えられない社長もいる。

そうなると将来破綻するような短期的利益の追求を求める。

その結果マクドナルドのように経営が危うくなった事例もある。

何より驚愕するのはこうした組織力学の結果、先人たちの積み上げたものが水泡に帰しただけではなく、320万人の戦死者と数多の傷跡を残した。

たった80年ほど前の出来事だったのだ。