米朝首脳会談後について思うこと
テレビ等では歴史的瞬間とか騒いでいるが、初回の顔合わせ以上の意味合いは特にない。
締結した内容は北朝鮮にとって損でもない。
今後事務次官級等、下級会談で詳細を煮詰めなければなんにもならない。
大事なことは核廃絶が確認できない限り、アメリカの勝利はないことだ。
北朝鮮との問題で窮地に立っているのは他ならぬアメリカにほかならない。
アメリカは多数の同盟国をもっている国家である。
もしアメリカが北朝鮮の核廃絶を達成できない場合、同盟国に対する核脅威についてアメリカは力になってくれないという見方となる。
この場合別の国への依存度を高めたり、自分たちの同盟状態を強化したりとアメリカからさらに離れる傾向が顕著となる。
米ソ冷戦以降の米国一極体制の節目が近づいているのかもしれない。
この問題で一番特をするのは中国である。
アメリカが交渉に失敗すれば、同盟国の離反を受け入れる素地ができる。
また朝鮮半島の非核化が成功したとすれば、中国にとっては制御がきくかわからない核保有国が一つ減ることになる。
北朝鮮という緩衝地帯がある限り中国にとってはどっちに転んでも利益となる。
アメリカにとって北朝鮮との交渉において重要なことは圧力をかけ続けることとなる。
なぜなら合意は信頼ではなく、圧力によって行われるものだからだ。
またトランプ大統領は交渉決裂で戦争になると言ったこともある。
これは下手をするとオバマ元大統領の二の舞になりかねない。
当時オバマ大統領はシリアとロシアに対してデッドラインを提示した。
しかし後日履行しなかったため、内戦がさらに激しく拡大した。
周辺国にも拡散し、イエメンでの内戦にアラブ連合が加勢する事態等の遠因ともなっている。
そう考えるとアメリカが交渉に失敗したとしても戦争に突入すれば周辺国の離反も防げるだろう。
しかし現状アメリはイラクとアフガンの傷跡、アフガンでは未だに撤退できていない状況が続いている。
また核が米国に到達する状態であればアメリカとしても軽々に戦争へ踏み切ることはできない。
アメリカは分の悪い賭けに出た。
しかし日本にとってみれば賭けに勝利してほしいと願っている。
だが、本来であれば北朝鮮に圧力をかけ続けるのは日本の役目である。
日本は本件に関して、北朝鮮に影響を及ぼす材料がない。
なのでアメリカが北朝鮮と交渉中、決裂した場合日本は戦争すると脅すことでアメリカの援護ができる。
俺はいいけど日本が黙っていないということだってできる。
また交渉が北朝鮮有利になったとき、アメリカは日本と共同して戦争するとふっかけることもできる。
外交とは血を流さない戦争である。
今の日本は何も理解していない。