米中の覇権争いについて思うこと
日本のテレビでは未だに経済戦争で留まっている。
しかし世界では覇権争いと認識されている。
5Gによる規格争いや経済対立は覇権争いに付随しているものだ。
この争いは中国の勝利と確信している人もいるかもしれない。
だがこの勝負に関しては米国が辛うじて勝利すると思われる。
その根拠は現在の米国が築き上げたシステムを中国が代行出来ないこと。
そして中国には信頼できる大国の同盟国がいないことだ。
現在の世界体制は米ソ冷戦によって米国の勝利によってもたらされた。
2つの覇権国がそれぞれのシステムを国際社会に適用しようとしのぎを削っていた。
だが米中冷戦は米ソとは違いイデオロギーの戦いではない。
中国は共産主義国家ではあるが、実態は習近平の独裁国家である。
むかしで言う皇帝が国家主席に名前を変えただけである。
実際中国はイデオロギーで明確なヴィジョンを示していない。
孔子学園や中国資本の入ったメディアで展開されているのはヴィジョンではなく、自己主張にすぎない。
ヴィジョンは相手に共感を与え同じ方向を向くように誘導する作用がある。
しかし中国のやり方は自己主張をすることで相手にメリットを感じさせ行動を促すものだ。
メリットを感じさせ行動を促すやり方は金の切れ目が縁の切れ目となる。
また中国は米国システムに乗っており独自のシステム構築ができていない。
AIIBといった独自のものを持つがこれもパクリにすぎない。
米国衰退後には世界の安定した状態がなくなり、各地で争いが起こる。
海では海底資源を巡り争いが起こり、陸では国境を巡り争いが起こる。
そうなれば取引コストは増大し今のような安定した資源等の確保が難しくなる。
中国がその紛争を防止するために軍を派兵したとしても大した数を派兵することができない。
何故なら中国は米国と異なり周辺国にロシアを含む大国に挟まれており国境に軍を置き続ける必要がある。
米国とは違い常に脅威を抱えている。
このことが覇権を阻害する要素ともなる。
中国がこの阻害する要素を排除するためには同盟国を多数形成する他ない。
米国は日本とイギリス、EU諸国と同盟関係にあることで国内に多数の軍を駐留させることなく海外派兵できている。
中国も周辺国と同盟関係を形成することで国内に多数の軍を駐留させることを回避する必要がある。
しかし中国が覇権国となるためには闇雲な領土拡大を放棄する必要がある。
尖閣諸島や南シナ海、インドとの国境問題など中国は領土紛争を抱えている。
このことは関係国以外にも疑念を抱かせる元凶ともなる。
特にロシアは世界一の領土を保有しているが領土を失うことをどの国よりも恐れている。
ロシアにとって領土を脅かす存在の排除が行動原理となっている。
ロシアとは領土問題を解決した。
しかし中国が他国と紛争問題を起こし続ける限り、ロシアの警戒は解かれることはない。
また領土問題は関係国がそれぞれ同盟関係を構築し共同歩調をとる契機となる。
また周辺国も次は自分たちが標的にされると考え同盟関係に消極的な同調をみせるようになってしまう。
中国の膨大なエネルギーは領土問題によって浪費され、覇権国となるチャンスを逃すこととなる。
中国が覇権国となるためには明確なヴィジョンを明示し、領土拡大を止めて同盟国を形成する他ない。
しかし中華思想に凝り固まっている限り、チャンスを逃し続けることになるだろう。