怒涛の時代を生きているという実感について
ジャパンアズナンバーワンとか言われていたバブルが崩壊し日本の戦後復興期に培われた成長戦略は機能不全を起こした。
就職氷河期を生み出し企業は生き残りをかけてリストラと短期的成長を追求するスタイルに変化した。
政府の重要性が増大したが、日本政治は明治維新以降の民主主義期間において良質な政治家を生み出すノウハウを構築できずにいた。
本来であればシンクタンクや政治家を育成する塾などが乱立してもおかしくないがほとんど出てこなかった。
このため党が議員を育成する場とせざるおえなくなった。
党の意向に従いやすいタレント議員など知名度に期待した悪貨を大量生み出し、各地にばら撒くことで選挙活動を進めた。
結果として政治家に期待されるべき国益を意識した国家運営は置き去りにされた。
官僚においても戦前日本の伝統を継承し、省益確保を第一に各種法律を乱立させ経済をコントロールしようとした。
しかし戦後の成長期とは違い官僚主導での経済復興は現実を無視した独りよがりの考えにすぎなかった。
閉塞感と制度疲弊の声が出るがリヴァイアサンと化した現代国家の前に虚無感が漂う中で東日本大震災が発生した。
津波は1万5千人を流しただけではなく、閉塞感と虚無感を日本から流した。
企業や行政の中から変革者がポツポツと現れ、周囲の賛同者を集めながら今後について考えられる環境が出来つつある。
そして今回中国武漢から世界中に拡散した新型コロナウィルスと年号変更に伴い制度改革に着手出来るきっかけが出来た。
セキュリティだのコンプライアンスとのたまっていた連中の声はかき消されリモートワークが急激に広まった。
ビジネスパーソンなら当たり前とされていた満員電車もなくなった。
お客様を第一とした接客はビニールシートによって再考の時を迎えた。
人の動きが完全に停止することで無駄や不必要な働き方や業務、人の動きが明らかとなった。
ここ迄は日本の歴史残るであろうイベントであった。
しかし今後世界は米中を基軸とした冷戦が進むこととなる。
世界史に残るイベントが到来しているのだ。
また今まで3流でもよかった日本外交を再考する時を迎えた。
米中が熱戦を繰り広げるかは不明である。
ただ米国という覇権国家に挑戦国である中国が挑んだ以上、ソ連崩壊のようにどちらかが倒れるまで継続することになる。
中国は今まで自由経済とグローバル化社会の恩恵を利用しながら利益を享受し、力をつけた。
しかし自らがばら撒くきっかけを作った新型コロナウィルスによってブロック経済へ回帰する動きとなりつつある。
今後数年間はモノ、人の動きは世界的に制限されるため中国が自由な移動の中で得ていた利益も失われることになる。
国内の状況が悪化する中で対外政策は強行にならざる負えない状態となる。
また中国周囲の国家はいずれも小国もしくは軍事力が脆弱であるため中国が打って出やすい環境下にあることも一つにある。
日本は憲法規定と自衛隊の権限不明確により初動態勢に難があり、独力では対抗し続けられるだけの予備戦力にことをかいている。
先制攻撃により尖閣諸島を不法占拠と既成事実化しやすい環境が整っていると言える。
米軍との衝突による米国介入の危険性はあるが、日米の連携に難があり付け入るスキがあると思われれば可能性が出てくる。
尖閣諸島のために米国が介入するのか、米国の支援がなくても単独で日本は莫大な血を流しながら守る意思があるかによってリスクは変化する。
日本政治と国民の領土に対する考えに挑戦状を突きつけられる時が来るかもしれない。
こうして振り返ってみると我々も歴史を作りながら生きていることを実感する。
激動の時代を生きることで生きている実感も湧くような気がする。