丸山氏の発言についての雑感
北方領土問題に関する丸山氏の発言が紛糾している。
戦争しても取り返そうとする姿勢を公式の場で酒によって国会議員が発言した。
だめ大人の典型例でなんとも情けないという感想しかない。
しかしメディアはこぞって言ってはならない断罪に処するべき事として取り上げた。
ロシア側も利用できるものができたので対応し、声明を出した。
交渉に影響を心配する人は多いが問題にはならないだろう。
ウクライナからクリミア半島を簒奪した話を持ち出せば交渉カードとして機能しなくなるからだ。
今回の失言は本人の政治生命には甚大な影響は出るが、外交政策には何ら影響を及ばさない話でしかない。
一連の報道で私が問題視したのは武力をチラつかせることなく外交のみで問題を解決できると思い込んでいる能天気な思考である。
店と客との取引の中で店は高く買ってほしい。
客は安く買いたいと思っている。
この両者の妥協点を探るのが交渉である。
店にとっては商品価値を上げること、客に納得した値段と思わせることが勝負どころとなる。
客の手札は同様な商品価値を持つ相場を抑えること、その店での年間購入額等である。
取引量が多ければ商品価格が安価になるのはBtoBでも同様である。
武力というのは年間取引量に相当するものだ。
多すぎた場合、相手に一社しか取引先がないことで恐怖を与えることになる。
その取引先から取引中止となったりした場合、経営に甚大な影響が出るからだ。
そうなると相手の無茶な要求も飲まざるおえなくなる。
逆に少なすぎた場合は高値掴みをさせられる。
一回での交渉ならもの別れになっても相手にとってさほど影響がないためだ。
特に客にとってどうしてもほしい場合は余計に高値掴みをする手札を相手に与えてしまう。
日露交渉も同様である。
武力をチラつかせることなく相手と交渉しても高値掴みするだけである。
特に経済成長が低く今後さらに経済状況が厳しくなるため、ロシアに対して経済をチラつかせる交渉は難しくなる。
昔は金をばら撒いて相手の感心を買っていた。
だが経済が落ちぶれるなら買うこともできなくなる。
戦争はいけないこととかいい子ぶった態度は結構なことだが、いい子が報われることは国際社会ではない。
何故なら秩序を自らによって創造しないと生き残ることができないのが国家なのだ。
外交バランスの持った政治家やメディアの不在を私は嘆いている。