災害地への支援物資から善意について思うこと
被災地への支援物資の在り方について問われている。
明らかに必要ないものまで送るのは問題外である。
しかし必要であるものを送っていることにも問題がある。
ヤマト運輸や佐川等の運送費用と労働者不足問題と根底は同じだ。
集積した荷物をそれぞれ家庭に配送する作業に人手が多く必要とされるからだ。
各家庭から発送された荷物は集積場に集められる。
集積場から集積場へ運ぶには一つの塊として発送できるため手間は多くかからない。
しかし集積場から各家庭や避難所に運ぶには細かく振り分けが必要となる。
振り分けをしないと効率よく配送できない。
住所の書かれた宅急便ですら人手不足と言われている。
災害時に避難所へ発送している人員がいないのは当然である。
また避難所は家庭とは違う。
避難所ごとで必要とされる物資やその量に違いがあり、保管できる量にも限りがある。
また集積場に集まる荷物の中身は開けてみなければわからない。
よって集積場の仕事は荷物の受け取りと発送以外にも、検品、品物の分類、各避難所ごとに発送するため品物を集めるといった業務が追加される。
これはヤマト運輸とアマゾンの業務両方を同一場所で行っていることになる。
『 コンテナ物語』という本がある。
世界最大の発明の一つは船などに積載されるコンテナであると思う。
そのコンテナの誕生から試行錯誤を経て、世界の流通を支配した経緯が書かれている。
コンテナができる前はすべての荷物がバラ積みであった。
何十人もの労働者を使って一週間ほどかけて積み下ろしと積込みを行っていた。
当然のように品物の窃盗や転売等が行われていた。
また労働者によるストの影響で賃金上昇や船の停泊代等のコストが運送費にのしかかっていた。
しかしコンテナ導入後はたった5人で6時間ほどしかかからず積み下ろしから積み込みまで完了させる。
また鉄箱の中に入れることで開封されることなく運送される。
莫大な運送費と労働力の削減に成功した。
この話はあくまでも運送の中間部門の話だ。
発送と配送部門については物流が誕生してから今までほとんど変わらず人の手によって行われている。
被災地に手間のかかる方法を押し付けるのではなく、お金という交換可能で人類の偉大な発明品を使えば簡単に貢献できる。
ものに思いを込めたがるのが日本人だが、相手に届かなければただの独りよがりでしかない。
他者に対する想像力の欠如がこの問題にも根ざしている。