思考停止したマニュアル通りの接客について思う
記事では画一的な接客を蔑視する内容が書かれていた。
脳みそや相手を考慮しない接客を嫌がるのは自分も同意見だと思う。
しかしこの意見には多くの批判も寄せられていた。
エスパーのように相手を察知しろというのかという意見や安い賃金で労働している人間に高度なことを求めるなという意見もある。
批判をみていると老人がアルバイトに説教したりしているクレーマーと勘違いされる内容だと思った。
相手は自分にこうするのが当然だという意識を感じたのだと思う。
とはいえ思考停止の極みであることは自分も思う。
飲食店にて食券機で購入後店員に手渡すとする。
「以上でよろしいでしょうか?」
言われてもそうだとしか言いようがない。
食券機ですでに選択して購入済みであるのだから以上に決まっている。
メニュー表を見せるわけでもないため他に注文したいものも選択できる状態ではない。
一品増やすことで客単価をあげたいという店側の都合のみが反映されている。
または食券機を導入する前のマニュアルをそのまま使用しているのかもしれない。
他の例でいえばデニーズでとくにイラつくことがある。
複数のメニュー表をもってきた時にこれ見よがしに
「本日のおすすめはこちらになっております。」
と言われてペラペラのメニュー表を開いた状態で出してくる。
その商品についてかかれたメニュー表を正面にどかっとおいて、他の料理が載っているメニュー表は下の方に埋もれるのだ。
おすすめなのはメニュー表をみればわかることである。
わざわざ別のメニュー表を作ってまで宣伝していることもわかる。
とはいえファミレスには色んな料理があり、それを選ぶ楽しみもある。
店員の所業は選択を与えることを拒否する行為となっている。
俺は食いたいものを頼みたいんだと思ってしまう。
またおすすめ品は大抵高い。
そして注文をとったあとにわざわざ繰り返し、注文確認を客にとる。
そして最後に一言
「以上でよろしいでしょうか」
以上でよろしいので早く送信ボタン押せよ!と思う。
すべて平均客単価を上昇させるためである。
客の都合ではなく店の都合が全面に押し出している接客マニュアルなのだ。
客にしてみればおすすめ品を食べそこなったからといって特段困らない。
地団駄を踏んで悔しがることもない。
またほとんどの人はメニュー表の表紙からみる。
ペラペラのメニュー表は「なんだこの邪魔なものは」と思いながら見られるだろう。
そうでない人はすでに食べたいものを決めている人か飲みにきた人だろう。
店員のしていることは親切が過ぎるのである。
テレビを見る人が減っているのも延長線にある。
ワイプや大きな文字でコメントを強調する。
ニュースも懇切丁寧に視聴者に教えようとするスタンスはわかりやすさという面においては比類ないものだと思う。
しかし親切が過ぎ、くどいのだ。
制作するにあたり小学生を想定しているような構成であるためバカ以外は見なくなるのは当然である。
視聴者に寄り添うとかいいつつ実際は視聴者の知性を信頼していないのだ。
話がそれた。
思考停止した接客をもっておもてなしというのも来日した人々をバカにした話である。
どこを観光するにしろ観光客は同じことを思っている。
できるだけ細かいストレスなく、普段味わえないことを存分に味わいたいのだ。
マニュアル接客を受けて喜ぶわけはない。
実践されているかは別として、それはどこの国でも同じようにあるからだ。
「日本のサービスは押し付け、マニュアル通りの過剰なサービスを相手構わず押し付けて、おもてなしとかって悦に入ってる、迷惑なもの。
この人はこれを求めてる、求めてない、って判断して、相手によって臨機応変に対応を変えるのが、本当の良いサービスだろう…」
観光客が求めているのはその中でも店員とのふれあいだったり、マニュアルにない一言なのだ。
これは企業の効率性と炎上対策とは矛盾した話だ。
多くの企業はアルバイトやパートで店舗を回している。
そのため各々がマニュアルから外れた行為をされると炎上や企業イメージを傷つけかねないことに戦々恐々となっている。
一つの例としてスターバックスのアメリカ系アフリカ人客を逮捕した事件がある。
散々言われているのでぶり返さない。
他にもアルバイトの行為によって日本でもいくつもの事件が起きている。
結局アルバイトによって店舗運営されている企業はおもてなしできないのだ。
企業がアルバイトにそういった権限を認めない限りマニュアル接客を通すしかない。
しかし権限や工夫をみとめない風潮のある企業であれば、正社員だけの店だったとしてもおもてなしできない。
旅館やホテルといった施設にも今後大きな差ができるだろう。
また思考停止した人間は今後不必要な存在となるのは自明だろう。
2極化の原因の一つは思考停止した人間の働き口が低賃金のみとなってきていることにもある。
いつの時代もそうだが、工夫や向上心のもたない人間は落ちぶれる。
日本が衰退しているのもうなずける話だと思った。